事務所を辞めさせてもらえないとき、知っておきたいこと ― 無料の相談窓口

「辞めたいと伝えても、話が進まない」
「契約のことがよく分からないまま、身動きが取れない」
「相談したいけれど、どこに話せばいいのか分からない」
いま、そんな状況でこのページを開いたのなら、最初にお伝えしたいことがあります。この問題は、一人で抱えたり、一人で交渉したりしなくて大丈夫です。事務所とのやり取りがこじれてしまったとき、無料で相談できる公的な窓口があります。この記事では、辞めさせてもらえないと感じたときに自分でできる準備と、状況に合わせて選べる相談先を、順番に整理します。書いているのは、約9年アイドルとして活動して卒業し、いまはキャリアコンサルタント(国家資格)として同じ道を歩む方をサポートしている私、桜のどかです。
なお、この記事は法律上の判断をお伝えするものではありません。契約や辞め方をめぐる具体的な結論は、契約の内容やそれぞれの状況によって変わります。だからこそ、最後にご紹介する専門の窓口につなぐことを目的にしています。
事務所が辞めさせてくれないとき、まず何をすればいいですか?
まずは、状況を記録することと、一人で交渉しないことの2つです。感情的なやり取りに入る前に、事実を整理しておくと、そのあと誰に相談しても話が早くなります。
「辞めたい」と伝えたのに話が進まない、返事をもらえない、条件を示されて迷っている――状況はさまざまだと思います。共通して言えるのは、その場ですぐ結論を出そうとしなくていい、ということです。事務所との関係は人によって事情が違いますし、良い関係を築いている事務所もたくさんあります。今の状況が「よくある引き止め」なのか、それとも一人で抱えるべきでない段階なのかは、外の目を入れて整理したほうが、はっきり見えてきます。

「辞めたい」と伝えて引き止められるのは、よくあることですか?
引き止められること自体は、珍しいことではありません。ただ、「引き止め」と「度を越えた拘束」は分けて考えたほうがよい、というのが大事なところです。
一緒に活動してきた事務所が、辞めるという話に戸惑ったり、続けてほしいと伝えてきたりするのは、自然なことでもあります。一方で、話し合いにまったく応じてもらえない、心身に負担がかかるほどの拘束が続く、といった状態が長く続くのであれば、それは一人で我慢し続ける問題ではありません。どちらが悪いと決めつける必要はなく、「今の状況が自分にとって重すぎないか」を基準に、相談する・しないを考えてよいと思います。
私自身の話をすると、活動していた頃は「自分で決める」という機会そのものが、あまり多くありませんでした。SNSの投稿ひとつにも確認が必要で、「こうしたい」という気持ちが通らないこともよくありました。これは誰かが悪いというより、あの環境ではそうなりやすい、という面が大きかったのだと、今は思います。だからこそ、自分の進退のような大きなことを一人で決めて交渉するのは、とても難しいことなんです。外の窓口に話してみるのは、弱さでも裏切りでもありません。
契約の途中で辞めることは、できるのですか?
これは、契約の内容やそれぞれの状況によります。ここで「辞められます」とも「辞められません」とも、断定してお伝えすることはできません。
芸能・タレントの契約は、業務委託に近い形が多く、雇用契約とは仕組みが違います。契約書に何がどう書かれているかで、できることも進め方も変わってきます。なお、芸能分野のタレント契約については、公正取引委員会が契約の適正化に関する考え方を示しており、契約のあり方が一方的にならないよう、社会的にも整理が進んでいる論点です。
大切なのは、「会社が出した書類だから、そういうものなんだ」と一人で結論づけないことです。契約書やその控えは、専門家と一緒に読むと、見え方が変わることがよくあります。働き方や契約の基礎を先に知っておきたい方には、こちらのガイドも参考になります。
相談する前に、自分でできる準備はありますか?
あります。相談の前に「状況を時系列で記録しておく」ことです。これは、どの窓口に相談する場合でも役に立ちます。
思い出せる範囲で構いません。次のようなことを、日付とともにメモに残しておくと、専門家に状況が伝わりやすくなります。

- 契約書の控えがあるかどうか(手元にある/もらえていない、のどちらか)
- いつ・誰に・何を言われたか(辞めたいと伝えた日、その返答など)
- やり取りの記録(メッセージやメールは、消さずに残しておく)
- 心身の不調があれば、その記録(通院している場合は診断書があると状況が伝わりやすい)
完璧にそろえる必要はありません。「覚えている範囲でメモにしておく」だけでも、相談の入口としては十分です。

どこに相談すればいいですか?(無料で使える窓口)
状況に合わせて、無料で相談できる公的な窓口があります。まず状況を切り分けてから、合う窓口を選ぶのがおすすめです。

契約・退所・過重な指示のことなら(芸能・フリーランスに特化)
フリーランス・トラブル110番
0120-532-110(平日11:30〜19:30・弁護士に無料で相談でき、匿名でも可)
厚生労働省の委託事業で、第二東京弁護士会が運営しています。芸能やフリーランスに近い働き方の契約トラブルを扱っているので、事務所との契約・退所の相談に向いています。
アイドルの契約について、より専門的に知りたいなら
日本エンターテイナーライツ協会(ERA)
era-japan.org
アイドルなどエンターテイナーの権利を扱う団体です。常設の無料ホットラインはなく、ウェブサイトの問い合わせを通じての相談になります。
未成年で、親とも意見が合わないなら
子どもの人権110番(法務省)
0120-007-110(平日8:30〜17:15)
未成年の場合、いきなり弁護士に依頼するのは手続き上むずかしいことが多く(未成年は一人で契約や委任がしづらいためです)、先に子ども本人の側に立ってくれる公的な窓口に話すほうが、進みやすいことがあります。
いずれの窓口も、「相談する=すぐ何かが決まる」ものではありません。まずは今の状況を話して、次にどうするかを一緒に考える場所です。
お金がなくて、弁護士に相談できません。
その場合は、法テラス(日本司法支援センター)という制度があります。
収入や資産が一定の基準以下であれば、無料で法律相談を受けられ(同じ問題で3回まで)、弁護士費用を立て替えてもらえる仕組みもあります(無利息で分割返済)。「お金がないから相談できない」で止まってしまわなくて大丈夫です。まずは前述の窓口や法テラスに、費用のことも含めて聞いてみてください。
ひとりで抱えないために
ここまで公的な窓口をご紹介してきましたが、「いきなり公的な窓口に電話するのは、少しハードルが高い」と感じる方もいると思います。
私たちツギステでも、桜のどか(元アイドル)が窓口になって、活動中のトラブルや事務所との関係のお悩みを一次的にお聞きする無料の相談窓口「アイドルトラブル解決サポート」を用意しています。お聞きしたうえで、必要に応じて弁護士や専門家におつなぎします。何から話せばいいか分からない、という段階でも大丈夫です。まずは状況を言葉にするところから、一緒に整理していけたらと思います。
→ 事務所とのお悩みを、まず話してみる(無料・匿名でも大丈夫)
最後に
事務所を辞めさせてもらえないと感じているとき、いちばんつらいのは「一人で、どうしていいか分からない」という状態そのものだと思います。でも、状況を記録して、外の窓口に話してみるだけで、次にできることは少しずつ見えてきます。どちらが悪いと決める前に、まずは自分の状況を、安心して話せる場所に置いてみてください。あなたが一人で抱え込まずにすむよう、相談できる場所は用意されています。
活動を辞めたあとの就職やキャリアについて相談したい方は、就職相談の公式LINEもあります(相談は無料・何も決まっていなくてOK)。

監修・執筆
桜のどか(さくら のどか)
株式会社ツギステ取締役/元アイドル(9年)/キャリアコンサルタント(国家資格)
アイドルとして約9年活動し、卒業。俳優としての活動を経て、現在は元アイドルの就職・転職サポートを担当しています。わたし自身、ステージを降りたあとに同じことで迷いました。だからこの記事は、正論ではなく「その時ほしかった言葉」で書いています。
note: https://note.com/sakuranodoka X: https://x.com/sakura_nodoka_
株式会社ツギステ
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