所属タレントのキャリアサポート ― 在籍中から卒業後まで

オーディションの保護者面談で、卒業後のことを聞かれたときにどう答えるか。タレントが辞めたいと言い出せないまま、活動が鈍っていくのをどう防ぐか。卒業が決まってから、就職の相談先を探していて間に合うのか。所属タレントの卒業後をどう支えればいいのか、迷ってしまう事務所の方も多いと思います。
活動一本でやってきたタレントには、卒業後に紹介できる道が少ないように見えるかもしれません。私たちは、活動歴がそのまま進路を狭めるとは考えていません。ステージに向けて準備を続けたこと、SNSを運用したこと、物販の在庫や売上を管理したことは、準備力・発信力・正確な事務処理として企業に説明できます。
この記事では、元アイドルで、現在はアイドルのキャリア支援をさせていただいている私が、在籍中・卒業のとき・卒業後のそれぞれで事務所が用意しておけることと、外に任せられることを、順番にご説明いたします。

キャリアサポートが最初にお役に立てるのは、募集と保護者面談の場面だと考えています
所属タレントのキャリアサポートは、本人を支えるためのものですが、事務所の運営にもお役に立てるところがあると考えています。なかでも早くお役に立てそうなのが、募集と保護者面談の場面です。支援の中身を細かく決める前でも、保護者の方に伝えられることがあるからです。
保護者の方は、面談の前から「芸能なんて、辞めたあとどうするの」という心配をお持ちのことも多いと思います。ただ、言葉での説明だけでは、この心配に応えきれないこともあります。将来についての約束なら、どの事務所でも口にできるからです。心配を和らげられるのは、相談先や引き継ぎ先が実際に用意されている、という事実のほうだと思います。

面談で出てきやすい心配は、次の三つだと考えています。①学業や生活への影響はあるか。②辞めたくなったらどうなるか。③その後の人生はどうなるか。
この三つには、それぞれ事務所の用意で答えられます。①には、在籍中に相談できる先と学ぶ機会があること。②には、辞めたくなったときの相談先が事務所の外にあること。③には、卒業後の就職まで支援する先があること。実績を誇張したり、将来を約束したりする必要はありません。この用意があることを、そのまま伝えてください。まずは、この三つを説明した紙を一枚、合格通知に同封するところから始めても構いません。
保護者の方の心配に答えることは、事務所の側から見れば、タレントの採用にも関わる話です。保護者の反対で合格を辞退される方がいる事務所には、特にお役に立てるかもしれません。
在籍中 ― 相談先を、事務所の外に置いておく
在籍中に事務所が用意できることは三つです。①と②は、費用がかからず、手間も大きくはかからないと思います。

①外部の相談先を案内できる状態にする(連絡先を、どのマネージャーでも渡せる場所に置く)。②外部に相談したことを理由に、タレントを不利益に扱わないと決めておく(案件の割り振りや契約更新に影響しない、と社内で共有する)。③将来を考える機会と学ぶ機会を、年に一度つくる(面談、適性検査、研修など形式は問いません)。
①と②が必要なのは、タレント本人にとって、事務所の人には言いにくいことがあるからです。本人から見ると、マネージャーは評価する側であり、現場をともにしている相手でもあります。関係が悪くなくても、本人が言いにくいことは残ります。

ですので、相談先は事務所の外にも置いてください。外に窓口があっても、事務所を否定することにはなりません。言いにくいことを外で相談できるほうが、在籍中の事務所と本人の関係はむしろ保ちやすくなると考えています。
③で扱うのは、将来の話だけではありません。お金や契約のことなど、いまの活動で身を守るための知識のほうが、本人にはすぐ役に立つことが多いと思います。
また、進路の相談と、活動中のトラブルの相談は、相談の窓口を分けてください。ツギステでも分けています。ファンからの付きまとい、SNSでの中傷、現場での過剰な接触などは、事務所に話すと大ごとになると思って、本人が言い出しにくい相談です。外に最初に相談できる先があれば、問題がこじれる前に、本人が誰かに話せます。そこから、本人の了解を得たうえで事務所に伝える道もつくれると考えています。安全に関わることは事務所の責任の範囲でもあるので、事務所が早い段階で知れることには意味があると思います。

事務所の側にとっても、マネージャーが一人で抱え込まずに済むようになると考えています。深夜の連絡を受けるのも、進路の相談に乗るのも、同じマネージャー一人という事務所もあると思います。外に相談先があれば、活動への気持ちが離れてしまう前に、本人が悩みを話せる場ができます。
卒業のときと卒業後 ― 引き継ぎ先を先に決め、関係は切らずにおく
卒業後の就職支援の引き継ぎ先は、卒業が決まる前に決めておいてください。卒業が決まってから探すと、本人の生活の切り替わりに間に合わないことがあります。

辞めるときの話がこじれるのは、次の行き先がないまま話が始まるからだと思います。次の行き先がないと、本人は辞めたいと言い出しにくいものです。言い出せたときには、気持ちがもう離れていることもあります。そうなると、事務所の側も、引き止めるか送り出すかしか選べなくなることがあると思います。引き継ぎ先が決まっていれば、卒業の相談を進路の相談として始められます。事務所にとっても、タレントを円満に送り出しやすくなると考えています。円満に卒業した方とは、卒業後も関係が続きやすいと思います。
卒業後に事務所にお願いしたいのは、卒業生との関係を切らずにいることだけです。卒業生がいまどこで何をしているかを事務所が言えると、募集のときに保護者への説明でそのまま使えます。制度の説明より、先輩がどうなったかのほうが保護者にはよく届くように思います。

費用と、事務所側の手間はどれくらいですか?
所属されている方の就職支援に、事務所からいただく費用はありません。ツギステは有料職業紹介事業者(許可番号 13-ユ-315539)で、採用が決まったときに、採用した企業から紹介料をいただいています。
事務所側にお願いするのは、連絡の窓口をお一人決めていただくことと、案内の導線をつくっていただくこと(タレントにツギステの連絡先を伝える方法を決めていただくこと)の二つです。研修や説明会は、対象と人数、扱うテーマによって内容が変わるので、個別にお見積もりします。
事務所にとってお役に立てると考えているのは、次の四つです。①募集と保護者面談で、卒業後の話に答えられること。②タレントに「辞めたい」を一人で抱え込ませずに済むこと(気持ちが離れてしまう前に、本人が話せる先があります)。③卒業が決まってから、引き継ぎ先を探さずに済むこと。④在籍中の研修と面談を、外部に任せられること(当日の場だけご用意いただきます)。
事務所にも本人にも費用がかからない仕組みは、本人向けの記事で詳しく説明しています。
育てたタレントを、持っていかれませんか?
所属タレントを引き抜くことはありません。ツギステから卒業を勧めることもありません。相談の結果、本人が活動を続けると決めた場合は、就職の支援には進みません。

導入を考えるとき、まず気になるのは、何から始めればいいのか、費用と事務所側の手間はどれくらいか、誰が窓口になるのか、だと思います。それとは別に、口には出しにくい心配もあるかもしれません。「辞める後押し」にならないか、タレントから事務所が信用されていないように見えないか、育てたタレントを持っていかれないか、といった心配です。
就職が決まることでツギステの売上が立つ仕組みですので、事務所側から見れば気になるところだと思います。そのため、支援の進め方に決まりを設けています。就職の支援に入るのは、本人が辞めると決めたあとです。決める前の段階では、迷っていることを一緒に整理します。続けるか辞めるかを決めるのは本人で、私たちではありません。

私は、在籍中の活動を応援する側の人間です。私自身がアイドルを9年続けてきたので、続けられるなら続けたほうがいいと本気で思っています。
外に相談先があることは、辞める後押しになるより、続ける判断を支えることのほうが多いと考えています。次の行き先が見えていれば、続けるかどうかを、本人が落ち着いて選び直せるからです。反対に、何も見えない状態では、続けるとも辞めるとも決められないまま、活動が鈍っていくことがあります。
卒業するタレントの就職は、どう進みますか?
ここでは、ツギステの就職支援の流れをご説明します。依頼先がツギステでなくても、外部に任せるときは、同じような段階を踏んでくれるかを確認してください。
五つの段階で進みます。①カウンセリング(辞めると決めていなくても、活動中でも構いません)。②強みの翻訳(適性検査と対話で、経験を仕事の言葉に置き換えます)。③書類作成。④面接対策。⑤就職後も伴走(入社したあとも、同じ体制でフォローします)。
五つのうち、時間がかかるのは②の強みの翻訳です。たとえば「アイドルを4年やっていました。特別なスキルはありません」という説明は、「4年間、週5本のステージとSNS運用・物販管理を並行し、数字で評価され続ける環境を走り切りました」と言い換えられます。事実は同じで、伝わり方だけが変わります。事務所で任されてきた仕事は、そのまま職歴として説明できます。

ここに時間をかけるのは、足りないのが能力ではなく、言葉だからです。これまでに相談を受けた方の初期データ(相談者100名分・2026年5月末時点。サンプル数が限られる初期の集計です)では、一般企業で働いた経験がない方が84%でした。同じデータで、就職に進めた方とそうでなかった方の適性検査を比べたところ、能力の面に意味のある差は出ていません。差が出たのは、移行期の心理状態のほうです。
ツギステの支援実績は、相談者100名以上、連携企業ネットワーク200社以上です。面接に進んだ方の内定率は80%を超えています。進んだ先は営業・事務・接客が中心で、広報や人事、企画に進んだ方もいます。
在籍中の研修は、どんな場になりますか?
研修では、ハラスメント、お金と契約、自分の身の守り方を扱います。内容を組み立てるうえで大事にしているのは、誰かを責める場にしないことです。
タレントと事務所の関係は、会社の上司と部下とは違います。力関係は、役職だけでなく、人気や後輩からの信頼、現場の空気からも生まれます。そのため、経営側の方にも一緒に受けていただいています。禁止事項を並べるのではなく、言いたいことを言い合えるチームを作るための時間として組み立てます。
直近では2026年8月5日、パートナー連携先のYU-Mエンターテインメント様で実施しました。企画も資料も当日の進行も、受講後アンケートの集計も、ツギステが担当しました。

受講した51名のうち、アンケートに答えてくださったのは35名です。その35名の97.1%が「良い」以上、満足度の平均は5点満点で4.74でした。当日の構成と結果は、実施報告にまとめています。
パートナー事務所でのハラスメント研修「良いチームであるために」実施報告
研修とは別に、保護者に説明するための資料も用意しています。加入時の面談で渡したり、合格通知に同封したりして、事務所から活動中と卒業後のサポートを説明するための資料です。

ほかに頼む先とは、どこが違いますか?
いちばんの違いは、関わり始める時期と、関わる期間の長さです。
ただし、求人の数と職種の幅では、一般の人材紹介会社にはかないません。
その代わり、ツギステは在籍中から関わり、辞めるかどうかを決める前の段階から話を聞き、就職したあとまでフォローします。求人を紹介するツギステ自身が、相談から入社後まで伴走します。担当を分けていないので、本人が最初に話したことを、別の担当者にもう一度説明する必要がありません。
本人が「共有していい」と言った範囲で、引き継いだあとの様子を事務所にお伝えすることもできます。
- 関わり始める時期:一般の人材紹介会社は辞めてから、事務所の中で抱える場合は辞める話が出てから。ツギステは、辞めると決めていない在籍中から関わります。
- 入社したあと:一般の人材紹介会社は紹介した時点で終わることが多く、事務所の中で抱える場合は関係が切れます。ツギステは入社後もフォローし、定着まで見ます。
よくある質問
活動中のタレントでも、相談できますか?
相談できます。辞めるかどうかを決める前の段階では、迷っていることを一緒に整理します。就職の支援に入るのは、本人が辞めると決めたあとです。
相談の内容は、事務所に共有されますか?
共有しません。本人の意向を確認せずに第三者へお伝えすることはありません。
ここは、外に相談先を置く仕組みでいちばん大事なところだと思っています。共有される前提だと、本人は相談をためらってしまうかもしれません。相談しなければ、外に窓口を置いた意味がなくなります。

事務所にお伝えできるのは、本人が「共有していい」と言った範囲だけです。逆に、卒業や進路について事務所側から共有していただける情報があれば、こちらでも準備を早められます。
始めるときは、何をすればいいですか?
お問い合わせをいただければ、事務所での相談体制や卒業時の対応など、まず現状を伺うところから始めます。
案内の導線をつくるだけであれば、大きな準備は要らないと思います。研修や面談を取り入れる場合は、対象と時期を伺って組み立てます。すでにツギステと連携している事務所もあります。
→ 何から取り入れるかは、ご相談のあとで決めていただいて大丈夫です
外部の相談窓口のご案内、保護者面談で使える資料、研修や面談の導入について、お気軽にご相談ください。資料だけのご依頼でも構いません。
監修・執筆

note: https://note.com/sakuranodoka X: https://x.com/sakura_nodoka_
株式会社ツギステ
アイドル・表現者経験者に特化した就職・転職支援サービスを運営しています(有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-315539/設立 2023年1月)。相談から書類作成・面接対策・入社後のフォローまで、求職者の方は無料で利用できます。
公式サイト: https://tsugisute.com//会社情報: https://tsugisute.com/company/