未練があるまま、アイドルを辞めてもいい?

「もう少しやれたんじゃないか」
「やりきれなかった気がして、次に進む気になれない」
卒業や引退を考えるとき、あるいは辞めたあとになってから、こうした気持ちが残って、迷ってしまう方も多いと思います。私自身もそうでした。まわりからは「区切りがついてよかったね」と言われても、自分の中では、まだ何かが終わっていないように感じていました。
この記事では、元アイドルで、現在はアイドルのキャリア支援をさせていただいている私が、未練が残ったまま辞めてもいいのか、「やりきれなかった」という気持ちをどう整理すればいいのかを、順番に解説します。

未練が残っているのに、辞めてしまっていいのでしょうか
はい、辞めてかまいません。あとになって大きく影響するのは、未練があるかどうかよりも、「自分で決めた」と思えるかどうかです。
相談を受けていると、「気持ちに整理がついてから辞めよう」と考えているうちに、何年も過ぎてしまったという方がいます。未練がすっかり消えてから辞められる方は、多くありません。区切りをつけるというのは、「ここまではやった」「その先は続けないと自分で決めた」と、自分の言葉で言えるようになることだと私は思っています。
未練がないふりをして、急いで決める必要もありません。大事なのは、辞めるかどうかを、まわりに任せずに自分で決めることです。

どうして「やりきれなかった」と感じてしまうのでしょうか
活動そのものに、「ここまでやれば終わり」という線が、もともと引かれていないからです。
学校には卒業式があり、会社の仕事にも、異動や定年といった区切りがあります。けれど表現の世界は、どこまで行けば達成なのかを、誰も決めてくれません。続けていれば、いつか届くかもしれないと思えるので、どのタイミングで離れても「まだやれたかもしれない」という気持ちが残りやすいのです。
そう感じるのは、頑張りが足りなかったからでも、まわりの誰かが悪かったからでもありません。ゴールの線が引かれていない場所を全力で走っていれば、誰でもそうなります。相談の場でも、長く同じグループで活動してきた方が「やりきった」と言い切ることは、あまりありません。

私自身、活動していたころは、自分で何かを決めるという経験があまりありませんでした。何かを発信するにも確認を通してからでしたし、こうしたいと思ったことが、そのまま形になることばかりではありませんでした。守ってもらっていた面も確かにあるので、それが悪かったとは思っていません。ただ、卒業を決めたときに「これでよかったのかな」とずっと考えてしまったのは、自分で決めるということに慣れていなかったからだと、いまは思います。
未練を抱えたまま次に進むと、どうなりますか
気持ちの整理がつかないまま、まわりに合わせて次を決めると、あとになって迷いが戻ってくることがあります。
相談を受けていても、この「やりきれなさ」を飛ばして就職活動だけを進めた方が、途中で「なんだか違う気がする」と手が止まってしまうことがあります。
この気持ちは、無理に忘れなくて大丈夫です。いちど言葉にして仕分けておくほうが、結局は早く次へ進めると考えています。

「やりきれなかった」気持ちは、どう整理すればいいですか
次の3つに仕分けると、整理しやすくなります。①形を変えれば続けられること ②時間や環境の側の事情で、もう終わったこと ③そもそも自分の力の外にあったこと、の3つです。
やり方はかんたんです。紙でもスマホのメモでもいいので、「やりきれなかったこと」を思いつくまま書き出します。そのあと、一つずつ①②③のどれかに印をつけていきます。書きながら分けようとすると手が止まるので、先に全部出してから分けてください。

- ①形を変えれば続けられること:歌やダンスを続けたかった、発信を続けたかった、あの場所にもう一度行きたかった。どれも、活動を離れたあとも、やり方次第で続けられます。
- ②時間や環境の側の事情で終わったこと:グループの活動が終わった、体調を崩した、生活が続けられなくなった。悔しさは残りますが、ご自身の落ち度ではありません。
- ③自分の力の外にあったこと:世の中の流れ、タイミング、他の人の判断。ここは、手放して大丈夫です。
相談の場で一緒に書き出してみると、多くは②と③に入ります。
「自分が足りなかったから終わった」と思い込んでいたことの大半が、時間や環境の側の話だったと気づく方は、とても多いです。
①に残ったものは、いまの生活の中で少しずつ拾い直していけます。仕事にするかどうかは、そのあとで決めれば十分です。
続けるか離れるかでまだ迷っている方には、気持ちを書き出すところから使える無料のノートがあります。
「自分で決めた」と思えるようになるには、どうすればいいですか
小さなことから、自分で決める練習をしていきます。自分で決める力は、筋トレと同じで、使うほど身につき、使わないと鈍っていきます。
活動している間は、投稿の内容から見せ方まで、確認を通してから動く場面が多くなります。それは守るための仕組みでもあるので、一概に悪いとは思いません。ただ結果として、「自分で決めて、その結果を引き受ける」という経験を積みにくい環境ではあります。そこから急に、これからの人生を左右する大きな決定を迫られるのですから、怖くて当たり前です。決められない自分を責める必要はありません。

練習は、本当に小さなことからで大丈夫です。今週の予定を一つ、自分の希望だけで決めてみる、気が進まない誘いを一度だけ断ってみる、なんとなく続けているものを一つやめてみる、といった程度で十分です。小さく決めて、その結果を自分で受け取ることを何回か繰り返すと、大きな決定のときにも「自分で決めた」と思いやすくなると、私は考えています。
卒業したあと、何もやる気が出なくて動けなくなる方も多くいます。その時期の過ごし方は、こちらの記事で解説しています。
アイドルを卒業した直後に何もやる気が出ないのは、普通のことです(関連記事)

未練が残っていることを、面接で話しても大丈夫ですか
大丈夫です。「なぜ辞めたのか」を自分の言葉で説明できれば、未練が残っていてもかまいません。
面接で企業の方が気にされやすいのは、「またすぐ戻ってしまうのではないか」「気持ちが決まっていないのではないか」という点です。そのため、未練を隠そうとするより、どう区切りをつけたのかを一緒に話すほうが、伝わりやすいと考えています。たとえば、次のように言い換えられます。
- 「やりきれなかったので辞めました」 → 「◯年間続けて、自分としてはここまでやったと思えるところまで来ました。その先を続けるかどうかは自分で決めて、次は長く積み上げられる場所で働きたいと考えています」
- 「本当は続けたかったんですけど」 → 「続ける道も考えたうえで、まず生活の土台をつくると決めました」
- 「特に理由はなくて、タイミングで」 → 「グループの活動が終わったことをきっかけに、これからの働き方をあらためて考え直しました」
どれも、事実の並べ方を変えているだけです。面接での伝え方は、こちらの記事で解説しています。

もし、また戻りたくなったらどうすればいいですか
戻りたくなったら、戻ってかまいません。就職しても、表現の道は閉じません。働きながら活動を続ける方もいます。
ツギステへのご相談も同じです。業務委託の仕事を探していた方が、希望に合う形が見つからずに、いったんご相談を終えたことがありました。その方は約1年後、生活が変わったことをきっかけに「今度は正社員で働きたい」と、もう一度ご連絡をくださいました。
一度相談して決まらなかった方も、またご相談ください。ブランクのあとに働き出すときのことは、こちらの記事で解説しています。
相談するとどうなるのでしょうか
カウンセリングから就職後のフォローまでを、無料でサポートします。辞めるかどうかが決まっていなくても、未練が残ったままでも、ご相談ください。

費用は最初から最後まで無料です(企業側から紹介料をいただく仕組みのため。有料職業紹介 許可番号 13-ユ-315539)。これまでに100名以上の方から相談をいただき、連携企業のネットワークは200社以上になりました。面接に進んだ方の内定率は80%を超えています。
「辞めるかどうか」の答えを、こちらから出すことはありません。決めるのは、いつでもご本人です。実際にどんな道へ進んだ方がいるのかは、先輩たちのインタビューが参考になります。
辞めどきそのもので迷っている方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

最後に
未練があるまま辞めるのは、失敗ではありません。ゴールの線が引かれていない場所を走ってきたのですから、どこで降りても、何かは残ります。大事なのは、その残ったものを持ったまま「自分で決めた」と言えるところまで、気持ちを整理しておくことだと思っています。
ひとりで仕分けるのが難しければ、書き出したものを持ってきていただいても、何も準備せずに来ていただいても大丈夫です。一緒に整理していけたら嬉しいです。
→ 決めきれないままで大丈夫です。まずは話すところから(無料相談)
監修・執筆

note: https://note.com/sakuranodoka X: https://x.com/sakura_nodoka_
株式会社ツギステ
アイドル・表現者経験者に特化した就職・転職支援サービスを運営しています(有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-315539/設立 2023年1月)。相談から書類作成・面接対策・入社後のフォローまで、求職者の方は無料で利用できます。
サービスサイト: https://tsugisute.com//会社情報: https://tsugisute.com/company/