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「引退したら人生終わり」ではありません ― ステージを降りた後の自分

監修:桜のどか(株式会社ツギステ取締役/元アイドル9年/キャリアコンサルタント(国家資格)) /
「引退したら人生終わり」ではありません ― ステージを降りた後の自分|ツギステ

「引退したら、人生が終わる気がする」
「ステージを降りた自分は、いったい何者なんだろう」

卒業や引退が近づくと、多くの方がこの感覚の前で立ちすくみます。私自身もそうでした。先にお伝えしたいのは、終わるのは「アイドルとしての役割」であって、あなた自身ではない、ということです。この記事では、なぜ引退が「人生の終わり」のように感じられるのか、そしてステージを降りた先にどんな道が続いているのかを、順を追って整理します。書いているのは、約9年アイドルとして活動して卒業し、いまはキャリアコンサルタント(国家資格)として同じ道を歩む方をサポートしている私、桜のどかです。

引退したら、本当に人生は終わってしまうのでしょうか

いいえ。終わるのは「アイドルという役割」であって、あなたの人生ではありません。いま感じている喪失感は、真剣に打ち込んできたことの裏返しです。

「自分=アイドル」「自分=表現者」という一体感が強い人ほど、その役割を手放すときの喪失感は深くなります。心理学では、この「役割を失う痛み」はスポーツ選手が引退するときと同じ構造だと説明されます(一次情報=笹川スポーツ財団の調査など)。長く全力を注いだ人ほど深く感じる。だから、いま苦しいのは弱いからではなく、それだけ本気だったからなのです。

そして、人が大きな役割から次の役割へ移るときは、いつも三つの段階を通ると言われています(心理学者ブリッジズの移行理論)。「終わり」「どっちつかずの中間」「新しい始まり」の三つです。引退した直後は、この真ん中の「どっちつかず」にいる時期。だから何者でもないように感じるのは、道の途中にいる証拠であって、行き止まりではありません。

引退後の移行の3段階:終わり→中立圏(どっちつかず)→はじまり

なぜ「自分が何者か分からない」と感じてしまうのでしょうか

それは、あなたの価値が消えたからではなく、これまでいた場所が「アイドルである自分」だけを映す鏡だったからです。

活動している間は、名前も、見られ方も、一日の過ごし方も、「アイドルの自分」を中心に組み立てられています。その中心が外れると、拠りどころが一度に見えなくなる。だから「何者か分からない」と感じてしまうのは、当然のことです。

私自身、卒業した翌日のことをよく覚えています。前の日は夜中の12時まで物販やお客さんの対応をしていて、翌日は疲れが全部出て、何も考えられませんでした。最初は「やりきった、自由だ」と思っていたのに、少しずつ「うわ、これから何をしよう。どうしよう」に変わっていったのです。

当時をふり返って思うのは、私に足りなかったのは能力ではなく「知ること」だったということです。アイドル以外の道を、私は知らなかった。自分にそれができるとも思えていなかった。だから前に進もうと思えなかっただけでした。何者か分からない不安の正体は、価値のなさではなく、「その先の選択肢を、まだ知らないこと」のほうにあったのだと、今は思います。

何もやる気が出ない今は、立ち止まっていて大丈夫でしょうか

卒業後、ステージ衣装を箱にしまう手元。ひと区切りをつけて次へ進む場面
動けない時期は、停滞ではなく、次へ進むために自分を整理し直している時間です。

大丈夫です。むしろ、その「動けない時期」は、次へ進むために必要な時間です。焦って飛ばさなくていい期間だと考えてください。

引退した直後は、先ほどの三段階でいう真ん中の「どっちつかず」の時期にあたります。古い役割はもう終わったのに、新しい役割にはまだ移れていない。外から見ると停滞しているように見えるけれど、実際には自分の中を整理し直している、必要な時間です。

この時期に「早く次を決めなきゃ」と焦って、とりあえずの選択に流れてしまうと、あとで行き詰まりやすいことも分かっています。だから、今すぐ答えを出さなくて大丈夫です。「まだ何も決まっていない」というその場所から、少しずつで構いません。何も決めていない、迷っている段階での相談が、実はいちばん役に立ちます。

ステージを降りた先には、どんな道があるのでしょうか

道は一本ではありません。大きく分けても、次のような選択肢があります。しかも、どれか一つを選んで終わり、というものでもありません。

ステージを降りた後の5つの道:指導者・講師/学び直し・資格/起業・フリーランス/一般企業へ就職/組み合わせる
  • 指導者・講師・解説の道 ― 慣れた世界に居られる安心感がある一方、ポストは空きにくく、教える立場に回れるかが問われます
  • 学び直し・資格の道 ― 実務に直結する学びは働きながらでも進められます。ただし「取ること」が目的にならないよう、出口を先に描くのが大切です
  • 起業・フリーランスの道 ― やり抜く力や発信力が活きます。お金や契約の土台に触れた経験がないまま始めてつまずく人も多く、そこを整えてからが安心です
  • 一般企業へ就職する道 ― いちばん縁遠く見えて、実は給料を受け取りながら社会の基本を学べる道です。生活の足場が整うと、初めて「本当はどうしたいか」を落ち着いて考えられます
  • これらの組み合わせ ― 就職しながら学び直す、働きながら発信を続ける。一本道で完結しないのが、むしろ普通です

実際に、ステージを降りたあとに歩いていった先輩たちがいます。「社会人経験がないから」と自信をなくしていた方が、その経験を評価する会社と出会い、収入も活動時代とほとんど変わらないまま新しい仕事に就いたことがありました。パソコンの電源の付け方から始めた方が、就活の知識ゼロの状態からおよそ1ヶ月で内定を得たこともあります。就職・アイドル・再就職と回り道をした方が、「毎日違うところがアイドルと似ている」と、人事の仕事で活躍していったこともありました。

急に生まれ変わったからではありません。もともと持っていた力に、次の場所で名前と居場所が見つかっただけです。どんな道があるのかをまず知りたい方は、職種別の仕事図鑑ものぞいてみてください。

職種別の仕事図鑑を見る(ツギステ)

引退のタイミングそのものに迷っている方は、続けるか離れるかを整理するノートも用意しています。

続けるか迷ったときの「やめどき整理ノート」(ツギステ)

「その先」を一人で描くのは、難しいものです

一人でこの先の道を描くのは、実はいちばん難しいことです。近すぎて、自分に何が向いているのかが見えなくなるからです。だからこそ、一緒に描くところから始められます。

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費用は最初から最後まで無料です(企業側から紹介料をいただく仕組みのため/有料職業紹介 許可番号 13-ユ-315539)。これまでに相談者は100名以上、連携企業ネットワークは200社以上に広がり、面接に進んだ方の内定率は80%を超えています。「まだ何も決まっていない」「引退するかも決めきれていない」という段階でも大丈夫です。

自分の経験がどんな仕事の言葉になるのかは、次の記事も参考になります。

「何もスキルがない」は思い込みです ― 元アイドルの強みの見つけ方

面接でアイドル経験をどう話す?受かる伝え方とNG例

実際にどんな道へ進んだのかは、先輩たちのインタビューが参考になります。

先輩たちの就職インタビューを読む(ツギステ)

最後に

「引退したら人生終わり」と感じているとき、本当に終わろうとしているのは、アイドルという一つの役割だけです。あなたが積み重ねてきた時間は、消えることなく、次の場所につながる力になります。いまはまだ何も見えない中間の時期かもしれません。でも、その先には確かに道が続いています。ひとりで「もう終わりだ」と抱え込まず、まずはその先を一緒に描くところから始められたら嬉しいです。

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この記事の監修者 桜のどか(株式会社ツギステ取締役/元アイドル(9年)/キャリアコンサルタント(国家資格))

監修・執筆

桜のどか(さくら のどか)
株式会社ツギステ取締役/元アイドル(9年)/キャリアコンサルタント(国家資格)
アイドルとして約9年活動し、卒業。俳優としての活動を経て、現在は元アイドルの就職・転職サポートを担当しています。わたし自身、ステージを降りたあとに同じことで迷いました。だからこの記事は、正論ではなく「その時ほしかった言葉」で書いています。
note: https://note.com/sakuranodoka X: https://x.com/sakura_nodoka_

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